2022年6月16日
グラック『異国の女(ひと)に捧ぐ散文』刊行
2022年7月11日より発売を開始いたします。
ただし、2022年7月2日(土)より、新刊の挿画展示を中心とした
山下陽子 新作展の会場( ナディッフモダン :東京渋谷)にて、先行販売いたします。
併せて、新刊のX章に対応した「山下陽子オリジナル版画T・30部限定特製版」を会場にて販売いたします。(当社での通信販売も可)。ぜひ会場にお越しください。
意匠を凝らした造本

末長く愛蔵するにふさわしい、意匠を凝らした造本です。


◆ 糸綴じ美装本
◆ 上製ドイツ装 (背と表紙を異なる素材で使用した特殊継ぎ製本)
◆ 表紙の一部を箔押しして、山下陽子さんの挿画を題簽貼り
新刊『異国の女に捧ぐ散文』は、ちょうど70年前の1952年7月、ジュリアン・グラックが、限定63部私家版で秘かに出版した幻の散文詩集の翻訳です。書いた時期は1950年と1951年初頭、これは彼の代表作となる長篇小説『シルトの岸辺』の執筆を中断していた時期に当たっています。
グラックは同1951年、この散文詩集を書き終えた直後から『シルトの岸辺』の執筆を再開して発表、同年のゴンクール賞に選出されますが、賞を拒否して一大センセーションを巻き起こしました。そして翌1952年にこの散文詩集を秘かに出版したわけです。なぜ彼はこの散文詩集を、例えば彼の代表詩集『大いなる自由』のように公然と発表しなかったのでしょうか。逆になぜ長篇小説の執筆を中断してまで、この散文詩を書き、その翌年に私家版にして刊行したのでしょうか。
これは彼自身の内面に秘された謎であり、結論が出ないわけですが、そう疑問を感じてしまうのは、この散文詩集が、彼には珍しく、熱い情念と直截な愛に高揚しているからです。そこへもってきて、グラックならではの硬質で燦めくような文体が、よけいに美しさを高めていて、12篇の散文詩が壮麗な伽藍を形作っているように思えるからです。グラックの精神に、何か大きな異変があったのではないかとさえ憶測してしまいます。
このたびの新刊は、山下陽子さんの8点の挿画を収録しています。グラックと同様、<彼方>を想起させ、浪漫的で繊細極まる作品は、グラックの詩的世界と相乗効果を及ぼし合い、いやが上にも、味わい深い、奥行きのある美麗な詩画集となりました。
その素晴らしい挿画8点を中心に、山下陽子さんの新作展が下記に開催されますので、ぜひご来場ください。
山下陽子 新作展 ─ 天使たち─

展示の詳細は次のサイトをご覧ください ⇒ ナディッフモダン 山下陽子
併せて会場では、新刊X章の散文詩に想を得た挿画のオリジナル版画(上記挿画)を収めた、美麗な特製版を、下記のとおり販売しています。
山下陽子オリジナル版画T・30部特製版 販売のおしらせ

なお、刊行を記念して、会場前のドゥ マゴ パリ テラスにて、下記のとおり、訳者によるトークイベントを、3年ぶりに開催いたしますので、ふるって御参加くださいませ。(申込み受付は開催1ヶ月前の7月7日頃からです。またHPでご案内いたします)。
『異国の女に捧ぐ散文』刊行記念トークイベント
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